- 代表者メッセージ
世界中を巻き込む新型コロナウイルスの蔓延により、人間の働き方・生き方の変化への対応を否応なく求められたと感じています。仕事自体にやりがいを持つことはもとより、大前提として自分自身の健康状態をどうやって保った上で生活していくのか。周りの関係者(家族、勤め先、取引先)がお互いの健康状態を共有し、生活していくのか。こういったことが、生きる上で必須の要件として求められるようになってまいりました。
また、健康状態を保てなくなった際には、どれだけ迅速的かつ効果的に様々な治療サービスを受け、いち早く健康状態を取り戻すことができるのかが求められるようになってきました。
私たちは、これらの求められる生き方を支援するべく、「予防医療としての一貫した各種検査サービス」と「遠隔での医師診療・薬の処方箋サービス」を提供することを通して、「自分自身の健康状態を簡単に知り、病気が悪化する前に予防できる」そんな仕組み作りを行いたいと考えています。
その為にも、検査技師が持っている技術と、エンジニアが持っているシステムの知識、さらに様々なメンバーの力を総動員し、日本、そして世界の人々の健康を支えられればと思います。
今回の新型コロナ感染症の拡大局面では、我が国は世界の先進諸国と比べても、死亡者数は少なく抑えられています。しかしこれは、医療現場の死に物狂いの対応、クラスター対策班の活躍、そして外出自粛など国民の協力によって、何とか幸運にも凌げたものであるということを認識する必要があります。近隣諸国では、台湾や韓国など国を挙げての迅速な対応により感染を抑え込んだところもありますが、これは2003年のSARSや2015年のMERSの流行を経験したことによる教訓が十分に生かされたものです。
翻ってわが国では、過去の感染症の教訓が生かされているとは言えず、PCR 検査体制の整備だけでなく、感染症病床の確保も遅れ、医療崩壊寸前となった場面もありました。感染症の被害は、最初は小さなもので大したことはないと考えられていても、感染拡大が広がるにつれて次第に状況が悪化し、悲劇的な事態につながってしまうことがあります。この点で、感染の拡大が小康状態になったからといって決して油断できないものです。
感染症対策として何と言っても必要とされるのは、PCR検査を中心とした検査体制の迅速な整備であり、また、各種検査手法がある中でも、検査の精度は最大限重視されるべきです。検査体制を拡充しても、精度が低ければ、偽陽性や偽陰性の問題から、却って医療現場を混乱させることにつながりかねません。また、感染症対策は、全国一律すべての場所で同様の対策をすればよいというものではなく、マスクや三密の回避など基本的な対策は講じつつも、職場やイベント会場、飲食店等、その広さや換気効率、入場人数、さらには施設内での動線等、それぞれの環境により個別で検討すべきものです。現在の新型コロナ感染症のみならず、将来予想される様々な感染症に対して、これら精度の高い検査の体制拡充、そして各個別の感染対策により、感染症への確固たる対応が必要とされているのです。
内科学講座 臨床感染症学部門
客員教授